会計を企業経営のためにフル活用する 〜管理会計とは〜(2)

前回は、税務申告など法律等の要請に基づく会計に対して、社長さんの意志決定のための会計があることについて書きました。2回目の今回は、意志決定に役立つ会計とは、というテーマで書きたいと思います。

 

そもそも、意志決定とは

簡単に言えば、意志決定とは「代替案の中から選択すること」を意味します。

例として、新商品の発売を検討していた、パン屋さんがあるとします。一つはチョコレートパン、もう一つはカレーパン。ここでは新商品の発売は一つだけ選択するものとします。

また、検討材料としては、もちろん味や大きさなど様々な要素がありますが、ここは会計の話ですので、売上・原価・利益の関係(損益計算)で有利か不利かを検討するものとします。

新商品それぞれの利益(もうけ)は次の通りと予想したとします。

 

 

 

上記の例ですと、どちらを発売してももうけは同じです。なのでこれだけでは判断できません。

それでは、原価を次のように分けてみるといかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

分け方のポイントは、パンを1個売ると変動する原価(=変動費)、パンを何個売ろうが変わらない原価(=固定費)、としたことです。

原価を2種類に分けただけなのでもちろん全体の利益率は変化していません

ただし、パンを1個売ったときの利益率(=貢献利益率)は分かりました。上記の例では、固定費は少々かかるものの、利益率の高いカレーパンを多く売った方が全体の利益もどんどん増えていくことが予想されます。
(貢献利益(率)は限界利益(率)という言い方もされます)

なお、上記の通り、コストを変動費と固定費とに分けて表示した損益計算書(P/L)を変動損益計算書といいます。

 

代替案の中から選択するためには

ポイントは、

  • 要素に分解すること
  • 分解は変化する部分変化しない部分に分けること

です。

つまり、原価は材料費や人件費、広告宣伝費や交通費、減価償却費などの経費から成り立っていますが、全てを一緒にしたまま分析しようとしても無理なので、まずは分解することが必要になります。

次に、分け方として、売上が増えるごとに増加する原価と、売上が増えても減っても変わらない原価を分けることが必要となります。

損益計算の見せ方を変えることで、経営の意志決定に必要な選択肢を適切に比較することができるようになるわけです。

 

まとめ

非常に単純化した例ですが、税務申告等で見かける財務会計上の損益計算と、管理会計に基づく損益計算の見せ方の違いが経営の意志決定において重要な役割を果たす点について記載しました。

では、どうやって原価を変動費と固定費に分けるのか、その辺りは次回解説したいと思います。