会計を企業経営のためにフル活用する 〜管理会計とは〜(4)

前回までは、売上高や生産量に応じて変動する費用(=変動費)と変動しない費用(=固定費)を分けることが、意志決定に役立つ会計を作るのに必要であることを説明し、その方法の一つとして費用を勘定科目毎に分ける方法を説明しました。

今回は、最小自乗法について説明します。

 

数学的に変動費と固定を分ける

実績データが複数あるとき、近似する直線を数学的に求めるのが最小自乗法です。
具体的には、点と直線の距離の2乗和を最小とする直線(回帰直線)を求めていきます。

数学と聞くと拒否反応を示す方も多いと思います。(私もその一人です)

実務上はデータを集めてExcelの関数で計算してしまえば良いので、そんなに構えることはありません。

 

LINEST関数を使う

例えば、時間とコストについて以下の月次データがあるとします。時間とコストの関係から変動費と固定費とに分解します。
すなわち、回帰直線を求め、直線の傾き(変動費率)と切片(固定費)を求めていきます。

①Excel関数を入力する

傾きを求めるセルを指定し、「LINEST」関数を選択します。

 ②既知のYとXを指定する

総時間をX、総コストをYとしてExcelの引数として以下の値を入力します。

  • 既知のY・・・ 1〜12月までの総コストを範囲指定
  • 既知のX・・・ 1〜12月までの総時間を範囲指定
  • 定数 ・・・ 切片が0の傾きを求めたい場合はfalse、指定しない場合はtrueと入力
    ※今回は切片0を指定しない
  • 補正 ・・・ 補正項を追加した情報を返すかどうか指定
    ※今回は補正項を追加しないfalseを入力

③配列関数にする

傾きを返したセルと切片を返すセルを選択し、数式バーをクリックします。
その状態で「Ctrl」+「Shift」+「Enter」を押します。

④配列関数となったことを確認する

数式が{ }で囲まれ、Excelの配列関数になっていればOKです。

以上より、変動費率は0.41/時間、固定費は7,253となります。

なお、傾きはSLOPE関数、切片はINTERCEPT関数により求めることもできます。

 

最小自乗法のメリット・デメリット

最小自乗法にもメリット・デメリットがあります。

メリット ・・・ 数学的・統計的であるため客観性がある

デメリット ・・・ データが正常値であることが前提

先ほどの例でいうと、時間やコストに通常操業では発生しない異常値(突然の大量受注、予期しえない急激な経済変化など)が発生した場合には、そのような異常値の影響を受けた変動費率・固定費が算出されてしまうというデメリットが生じます。

 

まとめ

数学といっても今はExcelがありますので、データを揃えて関数を入力すれば計算は簡単にできます。

次回はCVP分析について説明したいと思います。