公認会計士による会計監査を受けるにあたってまず準備してほしい7つのこと

法定監査(法律の義務により会計監査を受けること)の対象は広がりつつあります。

例えば社会福祉法人監査。平成29年度からは収益30億円超又は負債60億円超の社会福祉法人は法定監査を受けなければならなくなりました。

今後、対象範囲が拡大される予定です。

法定監査ではなくても、決算書類の信頼性を向上させる目的などから任意で監査を受ける企業も増えています。

そこで、会計監査を受ける場合にまず準備してほしいことを書きたいと思います。

 

根拠となる資料の確認・整備

会計監査は、計算書類に記載されている数値が適正か否かを検証しますが、そのためには仕訳一つ一つの根拠となる資料を確認することが必要となります。

そして、根拠資料はすべてが網羅的に揃っていることが必要となります。なぜなら、Aという仕訳には根拠資料があって確認できるが、Bという仕訳には根拠資料が全く無く、なぜこの仕訳が起票されたのか、後から確認できない状態では信頼して会計監査を行うことができないからです。

さらに、根拠資料が揃っていない程度が高い場合には、会計監査人は計算書類に対して「適正意見」を表明することが難しくなります。最悪の場合は、監査報告書に「意見不表明」という監査ができなかった旨を記載することとなります。

ですので、根拠となる請求書や領収書などの証憑を全て揃えておくことが必要となるのです。

また、そうした根拠資料は、会計監査人が依頼した期間内に提示できなければ意味がありません。監査が終わった後に「実は資料は揃っていました」と言われてもどうしようもないので、きちんとファイリングしておくことが必要となります。

できれば、仕訳伝票と請求書・領収書などの根拠資料を紐付けできるようにナンバリングしておくなどすると、会計監査人はスムーズに資料を確認できますので監査時間の短縮につながります。

 

過去の計算書類等の確認・整理

過去の計算書類をきちんとファイリングすることも重要です。

決算の際に計算書類を何度か修正しているうちにどれが取締役会の承認を受けた最終版か分からなくなることがあります。最終版はどれか明確に判別できるよう整理することが重要です。

また、よくあるのが、担当者の交代による不明残高の発生です。例えば、請求した代金などが未回収となっていたが、担当者が交代・退職してしまったので何の残高がわからずそのまま数年経過した、などということがあります。

会計監査を受ける前に残高の内容をきちんと確認しておきましょう。

 

業務フローの確認・整理

会計監査の過程では、内部統制をチェックします。

内部統制のチェックとは、会社内の業務のフローと牽制機能を確認することです。

例えば、得意先に対する請求業務は、いつ・誰が・どのようにしているのか、担当者の業務を誰がチェック・承認しているのか、などです。

こうしたことを会計監査人は質問しますので、きちんと答えられるように準備しておいてください。

 

規程の整理・用意

会社内には、定款や就業規則、経理規定、給与規程など様々な規程があります。

こうした会社内のルールを確認することも、会計監査人にとっては前述の内部統制のチェックの一環となります。

常に最新版が確認できるようにファイリングすることも重要となります。

また、改訂が発生した際には、どの項目をいつ改訂したのか、などを確認できるように比較表を作っておくとスムーズに確認できます。

特に、その会社に初めて会計監査を行う会計監査人は、必ずと言っていいほど規程類をチェックします。

 

議事録の整理・用意

取締役会を毎月開催するのなどしている場合、議事録を用意してください。

この場合も、スムーズに確認できるよう月別にファイリングするなどしておくとよいでしょう。

取締役会以外で会社の重要事項を決定している場合は、その会議体の議事録も確認の対象となります。

会社の重要事項を把握することは、会計監査において重要な監査手続となりますので、こうした対応も必須と考えて下さい。

 

金庫の整理

会社の金庫、あるいは銀行の貸金庫を借りているような場合、いずれにせよ金庫の中を整理しておきましょう。

会計監査人は、会社が保有している現金・小切手・有価証券・切手などを確認しますが、金庫内の状況も確認します。

金庫内に会社運営とは関係ない社長の私物が入っていたりするなどすると会計監査人の心証は良くありません。

内部統制が有効でないのかなと疑ってしまうからです。

きちんと整理し、会社運営に必要なものだけを金庫に保管しましょう。

 

棚卸資産・固定資産の確認

棚卸資産・固定資産ともにですが、会計記録・台帳とモノが一致しないケースが散見されます。

会計記録・台帳に記載されているのにモノがない、モノがあるのに会計記録・台帳に記載がない、などです。

こうしたことが発生する要因は、例えば、製品を出荷したのに出荷処理が漏れてしまった、台帳上、固定資産を除却したのにモノを廃棄するのを失念してしまった、などによります。また、モノの管理担当者と台帳の担当者が異なる場合、連絡ミスにより処理漏れが発生したのなどのケースもあります。

こうしたことを未然に防ぐためには、固定資産を除却処理したら経理にきちんと報告するなどの仕組み化が必要となります。

会計監査においてはこうした不備は必ず指摘されます。

こうした不一致が無いように事前にチェックしておくなど準備しておいてください。

 

まとめ

会計監査と聞くと身構えてしまう方が多いかと思います。

一定の緊張感をもって臨むことは大事ですが、何も準備せずに臨んでも会計監査はスムーズに終わりません。

上記のような準備を入念に行うことが必要となります。

また、準備を通して、会社内の業務フローや資料整理状況などを見直すきっかけとなりますので、前向きに対応しましょう。