非営利分野に公認会計士監査が導入されます

2017・2018年度より、非営利分野(社会福祉法人、医療法人)に対して会計監査(法定監査)制度が導入されています。

以下に詳述しますが、法定監査要件に該当することとなった法人は、公認会計士又は監査法人と会計監査契約を締結し、会計監査を受けなければなりません

 

導入の背景

皆さんご存じのとおり、国の予算における社会保障関係支出(医療・介護分野)は膨らむ一方です。

平成 28 年度の国の社会保障給付費のうち医療・福祉分野が占める額は 60 兆円を超えるとする推計もあります。

将来は、さらに少子高齢化が進みますので、状況はますます厳しくなるでしょう。

そんな状況の中、社会福祉法人や医療法人における事業運営の持続可能性を担保することが必要となります。

また、一部の社会福祉法人の中には、過去、内部留保を私的支出に流用し、厳しく批判されたケースもみられました。

そのためには、ガバナンスの向上・組織運営の透明性を高めることが必要となり、その方策の一つとして公認会計士監査(法定監査)が導入されることとなりました。

 

ざっくり言ってしまうと、社会福祉法人や医療法人があっさり潰れてしまうと困るので、そうならないために経営基盤を強化しましょう、そのために必要な財務情報などを外部に公表できるようにし、外部専門家のチェックを入れていきましょう、ということです。

 

社会福祉法人

法定監査の導入は段階的に実施される予定です。

社会福祉法人の法定監査基準

  • 平成29年4月1日以後開始会計年度〜  収益30億円超又は負債60億円超
  • 平成31年4月1日以後開始会計年度〜  収益20億円超又は負債40億円超
  • 平成33年4月1日以後開始会計年度〜  収益20億円超又は負債40億円超

上記は、平成29年度以降の会計監査の実施状況を踏まえて必要に応じて見直しが検討されるということになっています。

 

医療法人

平成29年4月2日以後開始会計年度から、一定規模以上の医療法人が対象となります。

医療法人の法定監査基準

  • 医療法人:最終会計年度に係る負債額の合計が50億円以上、又は収益額の合計が70億円以上
  • 社会医療法人:最終会計年度に係る負債額の合計が10億円以上、又は収益額の合計が20億円以上
  • 社会医療法人:社会医療法人債発行法人(従来通り)
  • 地域医療連携推進法人

 

公認会計士監査導入のメリットは

いくら法定とは言え、監査を受けるからにはメリットが欲しいところです。監査を受けることにより以下のメリットがあります。

  1. 財務情報の信頼性、ガバナンスの強化による社会的信頼性の向上
  2. 経営判断に必要な正確な会計情報が適時に入手できる組織体制の構築
  3. 会計監査を通じた経営課題の抽出
  4. 会計監査による不正の防止・発見
  5. 業務プロセスの「見える化」による効率的な経営の推進

 

まとめ

法定監査として「義務的」に監査を受ける法人が大多数ではありますが、中には自主的に監査を受ける(任意監査)の法人も存在します。

それは、外部の専門家による監査を通して、会計・経理分野を中心とした経営上の問題点をあぶり出してもらい、組織改善につなげていきたいという意図によるものです。

確かに、監査には費用がかかります。

しかし、組織内の人にとっては「当たり前」のことであっても、組織外の人から見ると「当たり前ではない」ことはあり、それは組織内の人は気づかないものです。

そうした「気づき」を得るためにも、外部専門家の視点を導入することを検討されてはいかがでしょうか。