【農業経営】中小企業等経営強化法の活用 〜機械を取得して規模を拡大したい方向け〜

機械(トラクタ、コンバイン、田植機など)や設備を取得すると税制上の優遇制度を利用できる場合があります。

期限は、平成31年3月31日まで(機械取得分)です。

新しく機械を導入して生産規模を拡大したいと考えている方は、ぜひ検討しましょう!

 

概要

制度をざっくりと説明しますと、

  1. 法人税(農業法人)あるいは所得税(個人農家)について、即時償却(購入した年度に購入額全額分の減価償却費を計上できる)または税額控除(10%)を受けることができ、さらに
  2. 固定資産税が3年間半分になる

というものです。

この制度は、「中小企業経営強化」に基づくものです。
制度を利用するためには、「経営力向上計画」の認定を受けることが必要となります。

 

対象や要件などは?

対象者や要件、対象となる機械・設備などをここでは細かく確認します。

対象となる農業者(青色申告限定)

  1. 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
  2. 資本金または出資金の額が1億円以下の法人

なお「農事組合法人」は対象外となります。

特例の内容、対象となる機械・設備

  1. 法人税・所得税について即時償却または10%税額控除(※)が適用となる
  2. 固定資産税が3年間1/2に軽減となる
    ※ 税額控除は法人税額の20%が上限となり、また資本金3,000万円超の中小法人の場合7%
対象となる機械・設備

  • 機械装置(160万円以上)
  • 器具備品・工具(30万円以上)
  • 建物附属設備(60万円以上)
  • ソフトウェア(70万円以上)
    ※情報収集・分析・指示機能を有するもの

要件

①以下の2つのいずれかの要件を満たし、②『経営力向上計画』を作成し、③地方農政局等において認定を受ける、ということが必要となります。
なお、固定資産税の特例を受ける場合には【要件1】は必須です。

要件1】

  • 旧モデルに比べ生産性が年平均1%以上向上する機械等
  • メーカー等を通じて工業会等が発行する証明書を入手
【要件2】

  • 年平均の投資利益率が5%以上
  • 投資利益率が5%以上であることについて経済産業局が発行する確認書を入手

【要件1】の場合、工具については測定工具、検査工具のみが対象となります。

この特例は、平成31年3月末までに取得した設備が適用対象となります。

 

必要な手続は?

上記【要件1】を例に、必要な手続の流れを説明します。

  1. 取得を検討している機械・設備が必要な生産性向上要件を満たしているか確認し、機械・設備メーカーを通じ、工業会等が発行する証明書を入手
  2. 経営力向上計画を作成し、証明書の写しを添付して最寄りの地方農政局等に計画を申請

    経営力向上計画では、
    ・ 経営状況
    ・労働生産性の向上目標
    ・労働生産性の向上を図るための取組・設備投資や資金調達の内容について記載が必要
    なお、計画提出から審査認定に要する期間は通常1ヶ月程度かかります

  3. 農林水産省(地方農政局等)から認定を受けた後、設備を取得
  4. 年度末に税務申告をする際、経営力向上計画の申請書及び認定書の写しを提出

 

具体例

簡単な例で、本特例の効果をみてみましょう。(法人税と固定資産税のみ考慮)

(例)資本金1,000万円、減価償却前の利益が2,000万円の農業法人が、中小企業等経営強化法の認定を受け、700万円の機械(耐用年数7年)を取得した場合における初年度の効果

①特別償却(即時償却)

600万円 ×23.2% =140万4千円

別途通常の減価償却費は計上されます

②税額控除(10%)

700万円×10%=70万円(ただし法人税額の20%が上限)

①②はどちらか有利な方を選択

③固定資産税の軽減

665万円(固定資産税評価額)×1.4% ×1/2=4万6千円

 

まとめ

特例の適用についての検討は専門知識が必要ですし、手続きも少々煩雑です。

こうした場合は、公認会計士や税理士などの専門家の手を借りましょう。